2019年7月25日 九建日報
予防保全で対策費抑制
構造物の補修・補強フォーラム'19
健康寿命へ適切調査・診断学ぶ
(一社)コンクリートメンテナンス協会(徳納剛会長)は23日と24日の2日間にわたり、「コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム2019」を福岡市博多区の福岡国際会議場で開催した。土木学会認定CPDプログラムで延べ約1900人が参加し、コンクリート構造物における健康寿命の考え方、最新の調査診断や維持管理技術を学んだ。
今年のテーマは「鉄筋防錆の観点からコンクリート構造物の健康寿命を考える」。
あいさつに立った徳納会長は「国内のコンクリート構造物は確実に劣化が進み、直ちに対策が必要なものも少なくない。それらに対して適切な調査、診断、補修工事を行うことは維持管理に関わる技術者の責務だと思う」と述べた。
九州地整企画部の竹下卓宏技術調査管理官は「最近の建設行政の話題」と題し、防災・減災・国土強靭化のための3か年緊急対策と令和元年度予算、社会資本整備を取り巻く現状と働き方改革、i-Constructionの取り組みについて講演した。
竹下技術調査管理官は、3か年緊急対策は令和2年度迄で3年度以降も引き続き事業量を確保し防災・減災・国土強靭化を推進するためには、県や市町村での策定があまり進んでいない国土強靭化地域計画の策定が必要との認識を示した。
また他産業に比べ高齢化が進み若年層も少ない建設業の就業者、技能者の現状を説明し、課題である若年者の入職、確保等に向けた働き方改革の取り組みを紹介した。
「長寿命化のための点検要領」について話した同協会顧問で近未来コンクリート研究会の十河茂幸代表は、老朽化したコンクリート構造物が膨大な数となっている中で技術者、技術力、対策費が十分でないと指摘し「予防保全として損傷が顕在化する前に対応することで対策費が抑えられる」、「構造物が置かれている環境を考慮し、点検の調査項目を絞り込む」、「診断は専門家が行い、点検は技能者が行う」ことなどを提案した。
このほか、最新の調査・診断や補修技術の解説など多岐にわたる講演が行われた。
同フォーラムは、8月1日に那覇市、9月26日に熊本市でも開催される。