2019年5月15日 中建日報
コンクリート補修・補強フォーラム
山口会場は約180人聴講
県コンクリート診断士会ら
【防府】山口県コンクリート診断士会(瀬原洋一会長)と広島県コンクリートメンテナンス協会(徳納剛会長)は13日、宇部市あすとぴあ4丁目の県産業技術センターで『コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム~鉄筋防錆の観点からコンクリート構造物の健康寿命を考える~』を開催した。定員を上回る約180人が聴講し、RC構造物の健康寿命を延ばすための維持管理の考え方に関する基本概念や最新の調査診断と適切な維持管理技術などを学んだ。
はじめに、主催者を代表して瀬原会長が「点検のほか補修設計などに携わり、大分慣れてきたが工法や効果のある材料の選定時には悩む。どれが一番良いのか、補修工事を終えて数年後の再劣化の確認も必要になってくる。本日は設計や施工者も来ているが、多くの技術を学んでもらいたい」とあいさつした。
フォーラムではまず、中国地方整備局の藤原浩幸道路保全企画官が「社会資本のメンテナンスについて考える」として、防災・減災・国土強靭化のための3ヵ年緊急対策、2019年度予算、荒廃するアメリカの現状、日本の老朽化事例、社会資本の老朽化対策への流れ、老朽化対策(メンテナンス)の進め方、中国地方整備局での社会インフラの老朽化対策について説明したのち、近未来コンクリート研究会代表の十河茂幸氏は「長寿命化のための点検要領」と題し、点検要領の作成の背景や点検要領(案)の骨子、小規模橋梁の点検要領、点検要領の活用に向けて-について説明し、「小規模橋梁の予防保全がカギ。小規模橋梁の点検では、調査項目を減らし環境条件から劣化因子を絞り、構造物を傷つけないために微破壊で健全性を調査する。高価な機械を使わず簡易な装置で劣化調査し、調査結果は継続的に記録する」と述べた。CORE技術研究所の真鍋英規氏が「プレストレストコンクリート構造物の有効な維持管理」でPC構造物の維持管理やPCグラウトの調査、非破壊検査技術、調査・診断補修・補強について解説し、その中で「維持管理を適切に行うために、構造物の計画、設計、施工のいずれもが大切。橋梁の維持管理に関する技術は、開発、改良の途上のためその継続が必要。適切な維持管理で安全でサステイブルな社会を実現させよう」と呼びかけた。
また、コンクリートメンテナンス協会技術委員長の江良和徳氏(極東興和)は「鉄筋腐食の観点からみた亜硝酸リチウムによる補修技術」と題し、亜硝酸リチウムを用いた補修技術や補修工法の選定の考え方、構造物の健康寿命を延ばすための亜硝酸リチウムの活用事例について、富士フィルムの川尻洋平氏が「コンクリート構造物のひび割れ画像診断支援システム『ひびみっけ』」について、エスエルテックの橋本芳章氏は「亜硝酸塩の有効的な工法」と題し、コンクリート構造物鉄筋防食工法のGFプロテクト工法やスラグリード工法、スラグリードSR工法について、セメント協会の早野博幸氏は「セメント系補修補強材料の基礎知識~ひび割れ注入工法と断面修復工法を中心に~」でひび割れの補修や断面の修復の種類と特徴、施工方法、留意点について、日本ペイントの中丸大輔氏は「コンクリート塗装材の役割~視認性塗料と剥落防止塗料~」の中で、コンクリート用塗料(表面保護工法)の目的や特徴、付加機能などについて、それぞれ解説した。