10:00~10:05趣旨説明
JCMA会長 徳納剛
(一社)コンクリートメンテナンス協会の本部は広島にあります。
広島はASR劣化が多い地域です。また海砂による塩害、山間部では融雪剤による塩害があります。もちろん中性化劣化もあります。
そのような土地柄でコンクリート補修と四半世紀取り組んできました。当初は物理的な対処工法で対応していました。それは断面欠損すれば埋め戻す。ひび割れはエポキシ樹脂で注入する工法です。補修しても再劣化しました。
しかし、再劣化させない工法がだんだんわかるようになりました。
要望があり、現在全国各地で「コンクリート構造物の補修補強に関するフォーラム」を開催しています。
さて、コンクリートの補修は決して難しくありません。
最初に、補修後の構造物のあるべき姿を決めてください。
そして、次のように進んでください。
ます、一番目は 劣化機構は何なのか? それは、塩害、中性化、それともASRですか?
難しくありませんよね。
次に、劣化因子は何なのか?それは、塩化物イオン、二酸化炭素、水ですか?
これも難しくありませんよね。
そして、その劣化の劣化因子は 腐食発生限界値よりも数値は上ですか下ですか?
下でしたら、劣化因子が入らないようにすれば腐食環境にはなりません。
そして最後に、構造物の置かれた環境、例えば沿岸部なのか?山間部?寒冷地?なのか?
また、気象環境、経済的な環境を考慮して、再劣化を許容しますか、しませんか?
高価だが再劣化させない工法。低価格で再劣化を許容するが効果は期待できる工法、と進むとおのずと工法と材料はきまります。
高アルカリ環境のコンクリート中では鉄筋の表面に不働態被膜が形成されて鉄筋は腐食しませんがある一定以上の塩分が入ると不働態被膜が破壊されます。その一定の数値が腐食発生限界値です。
例えば塩害劣化で、塩化物イオンが鉄筋位置で腐食発生限界値より上であり、再劣化を許容しないのであれば、やはり一番に検討するのは確実な電気化学的防食工法です。もう一つが亜硝酸リチウムの圧入工法となります。
もし、経済的理由等で、再劣化を許容するのであれば、低価格工法の防錆剤の塗布工法の採用になると思います。
もし、腐食発生限界値より塩分量が下の潜伏期であれば、さらなる塩分が入らなければ鉄筋の腐食はしないのだから、表面保護工法を施して塩分が入らないようにすればいいんです。
本日の講習はそのような定量的な補修工法に主眼を置いています。
コンクリートの補修は、補修のシナリオを考えて工法と材料を考えれば難しくはありません