2018年07月31日 中建日報
既設構造物へのプレストレス導入
極東興和「K-PREX工法」水密性向上、内部補強で高い施工性
極東興和らは、既設コンクリート構造物へのプレストレス導入技術「K-PREX工法」の営業を本格的に開始した。拡幅・部材追加のほか土中・水中構造物の内部補強などにも広く対応できるとして引き合いが増加しており、今年度中にはNETISへの登録も予定。今後、コンサルタントやゼネコンなどに積極的に売り込んでいく。
コンクリート構造物の補強技術は、コンクリート巻立てや補強鋼板等の補強材を部材の外面に設置する方法が一般的だが、構造物が土中や水中にある場合など設置条件によっては補強材設置が困難なケースもある。また、部材外面に定着体とPC鋼材をあと付けしてプレストレスを与える外ケーブル工法では、配線や機材設置のための作業空間が必要という課題があった。
「K-PREX工法」では、コアドリル先端に独自に開発した拡径ビットを取り付け、コンクリート内部をくさび型に削孔したのち、特殊な充填剤でPC鋼棒を定着。この部分をアンカーにしてPC鋼棒を緊張してプレストを導入する仕組み。
プレストレスによって弱点となる打ち継ぎ面の水密性を格段に向上させることができるほか、削孔数を少なくすることで、構造物を必要以上に傷つけないこともメリット。また、コンクリートの内部から補強するため、土中・水中などこれまで施工性、経済性の問題で補強実施が困難だったケースにも適用できる可能性があるという。
同社をはじめとするK-PREX工法研究会で約6年前から開発を始めた技術だが、すでに公共工事での採用実績もあり、「主要地方道大阪臨港線所松橋耐震補強工事(北行き)」(大阪府発注)では、橋台増し杭の補強において、増しフーチング部と既設橋台を一体化させ、水密性・耐久性を向上させるために適用された。
これまで地道な営業活動や(一社)コンクリートメンテナンス協会の全国フォーラムを通じた広報活動等もあって徐々に引き合いが増えており、今年度は4件程度の受注を目標としつつ、より多様な構造物に対応していくために、適用緊張材を拡充する技術開発も進めていくという。
同社営業本部技術企画課の三本竜彦課長と同営業課の三原孝文課長は、「今後、本工法を普及させるための営業活動に力を入れるとともに、薄肉部材等も含め適用範囲を充実させるための検討を進めている。技術開発と営業を両立させつつ進めていければ」と話している。
工法の問い合わせ等はK-PREX工法研究会(電話082-261-1204)まで。