2018年06月04日 中建日報
「リハビリ工法」でNB大賞
健康寿命延ばす良い技術提供を
「この人」に聞く 福徳技研(株)社長 徳納 剛氏
「コンクリート構造物の健康寿命を延ばすことが目的。社会資本整備全体のことを考え、良い技術の提供に努めたい」と謙虚に語るのは、福徳技研の徳納剛社長。同社の「ASRや塩害により劣化したコンクリート構造物の補修技術」が、第26回中国地域ニュービジネス大賞(兼中国経済産業局長賞)に選ばれた。
劣化したコンクリート構造物の表面を削孔し、亜硝酸リチウム溶剤を用いた補修材を注入することで鉄筋部分の錆(さび)の進行を効果的に防止する「リハビリ工法」と呼ばれる技術。
もともとは徳納社長が約20年前に考案したものをベースにしているが、改良と試行錯誤を重ねて完成度を高め、広島県内だけでなく全国でも急速に実績を伸ばしていることが今回の受賞に結びついた。建設業の大賞受賞は、今回で4例目となる。
徳納社長は受賞要因について、「これまでコンクリート構造物の寿命は50年と考えられてきたが、現在はさらに50年使うこと大前提とされている。そのために有効な鉄筋防錆技術ということで、当社の技術が注目されているのだろう」と分析。
過去の実績は土木中心だが、「コンクリートは土木より建築が多い。スクラップ&ビルドがこれまでの考えだが、今後は50年たったものを補修しながらでも使いたいケースも増えてくるだろう」とし、建築分野での需要拡大も見据える。
また、同賞の選考には新規性や独創性に加え、売れるかどうかの市場性も重視されるが、「もうけたいとか、我田引水のような考えは持っていない」とキッパリ。「そのために協会を立ち上げて会員に講習をし、高いレベルの技術を提供するとともに、全国フォーラムでは他団体等にもご協力いただきながら、特定の工法に偏らない情報提供をしている。最適な補修工法を知るためにきっと役に立つはずなので、ぜひ多くの方に参加してほしい」。
なお、同工法の紹介を含む全国フォーラムは、全国11会場で8月30日まで開催中。詳細は(一社)コンクリートメンテナンス協会のHPから確認することができる。