(4)亜硝酸リチウムに関連する法規制・基準等
亜硝酸リチウムの使用において遵守すべき規準
⇒ 水質汚濁防止法の排水基準などに対し,亜硝酸性窒素,硝酸性窒素として監視する必要があります
亜硝酸リチウム使用において遵守すべき法規制,基準として,環境省が定める「水質汚濁に関する環境基準」,「水質汚濁防止法の排水基準」などがあります.これらの基準の中では,「硝酸性窒素」または「亜硝酸性窒素」としての濃度を規制してあります.環境中の亜硝酸性窒素,硝酸性窒素は,工場排水,浄化槽排水,畜産事業所排水,一般家庭排水,農業用肥料に起因する排水など,多種多様な発生源から排出されています.亜硝酸リチウムを使用したコンクリート補修施工を行う場合には,対象構造物の立地条件や周辺環境に応じて,表3-6に示す法規制や基準類にて定められた硝酸性窒素,亜硝酸性窒素量を超えることのないよう監視する必要があります.ちなみに,リチウムに関しては特に規制,基準はありません.
法規制・基準等 | 基準値 | 備考 |
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水道水質基準 | 亜硝酸性窒素 :0.05mg/ℓ | 飲料水としての基準値 |
水質汚濁に関する環境基準 | 亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素 :10mg/ℓ | 亜硝酸イオンとして32.9ppm |
水質汚濁防止法の排水基準 | アンモニア性窒素,亜硝酸性窒素,硝酸性窒素の合計 :100 mg/ℓ | 亜硝酸イオンとして329.0ppm |
特定事業場からの下水の排除の制限に係る水質の基準 (工場排水が1/4以上の場合) | アンモニア性窒素,亜硝酸性窒素,硝酸性窒素の合計 :125 mg/ℓ | 亜硝酸イオンとして411.3ppm |
特定事業場からの下水の排除の制限に係る水質の基準 (工場排水が1/4未満の場合) | アンモニア性窒素,亜硝酸性窒素,硝酸性窒素の合計 :380 mg/ℓ | 亜硝酸イオンとして1250.2ppm |
ここで,亜硝酸リチウムを用いたコンクリート補修工事において上記に示した硝酸性窒素等の基準値を超える可能性があるのは,不慮の事故または災害等により保管中の亜硝酸リチウム水溶液が大量に流出するような場合のみです.コンクリート表面に塗布したり,コンクリート内部に圧入したりした亜硝酸リチウムがコンクリート外部へと自然溶出する量は極めて微量であり,これが原因で上記の基準値を超えるようなことは想定できません.すなわち,材料保管時に適切な管理を行う限り,亜硝酸リチウムが周辺環境を悪化させることはないと考えられます.
なお,亜硝酸リチウムの取り扱いは必ず「製品安全データシート」の指示に従い,正しく使用する必要があります.