(2)残存膨張量が大きい場合
条件
対象構造物
RC橋台
環境
平野部、建設後30年経過
試験値
コンクート圧縮強度28.0N/mm
2、静弾性係数12,8kN/mm
2 残存膨張量0.081%(JCI-DD2法;13週)
外観変状
幅0.2~6.0mm程度のひび割れが橋台躯体表面全体に見られる
補修工法選定の方針
ASR補修の基本となる劣化因子の遮断を主目的とする補修工法が適用できる条件は、水分の遮断が十分に見込める場合か、残存膨張性が低い場合となる。本橋のように背面からの水分侵入を遮断することが困難で、かつ残存膨張性が高い場合には、劣化因子の遮断を主目的とする補修工法を適用しても再劣化のリスクが高いと考えられる。
⇒ 主たる要求性能は【ゲルの非膨張化】とする
ASRゲルを非膨張化する工法として亜硝酸リチウム内部圧入工法が挙げられ、この工法を適用することによって以後の維持管理における再劣化リスクを低減することができる。
これらの方針を考慮した補修工法選定比較表の例を図4-0に示す。
ここで劣化因子の遮断を目的とした補修工法(ひび割れ注入、表面被覆など)を適用する場合は、以後の維持管理において構造物の再劣化を許容し、再劣化と再補修を繰り返すというシナリオを選択することとなる。
図4-0 ASR補修工法比較表の例(残存膨張量が大きい場合)