(1)残存膨張量が小さい場合
条件
対象構造物
RC擁壁
環境
平野部、建設後35年経過
試験値
コンクート圧縮強度22.0N/mm
2、静弾性係数8.9kN/mm
2 残存膨張量0.021%(JCI-DD2法;13週)
外観変状
幅0.2~3.0mm程度のひび割れが擁壁表面全体に見られる
補修工法選定の方針
ASR補修の基本は劣化因子(水分)の遮断であるため、まずはひび割れ注入工と表面保護工(表面含浸工、表面被覆工)の適用を検討する。ただし、これらの工法を適用した構造物において再劣化を生じたケースが多数報告されている。その理由は、完全な水分遮断ができなかった場合や、ASRの残存膨張性が高かった場合などであることが多い。すなわち、劣化因子の遮断を主目的とする補修工法が適用できる条件は、水分の遮断が十分に見込める場合か、残存膨張性が低い場合となる。
⇒ 主たる要求性能は【劣化因子の遮断】とする
ただし、ASR膨張が完全に収束しているか否かを判定することは容易ではないため、単なる劣化因子の遮断だけでなく、ASRゲルの非膨張化を部分的にでも加味した補修工法を選定しておくことが望ましい。
これらの方針を考慮した補修工法選定比較表の例を図4-0に示す。
図4-0 ASR補修工法比較表の例(残存膨張量が小さい場合)