(2)中性化による劣化事例
中性化によるコンクリート構造物の劣化は,『二酸化炭素の侵入によるpH低下』→『不動態被膜の破壊』→『鉄筋腐食の発生と進行』→『腐食膨張圧によるコンクリートひび割れ』→『かぶりコンクリートの浮き・はく離』という過程を経ると考えられます.すなわち,中性化による劣化がコンクリート表面のひび割れとして顕在化した時点でコンクリート内部の鉄筋腐食はかなり進行しているものと考えるべきです.
図2-17は中性化により鉄筋が腐食し,かぶりコンクリートがはく落している状況です.自動車の排気ガス等により二酸化炭素の供給が多い構造物は中性化による劣化を受けやすいといえます.図2-18は道路橋の張出し床版下面において,腐食した鉄筋が露出している状況です.もともと鉄筋かぶりが不足しており,早期に中性化領域が鉄筋位置まで到達し,鉄筋が腐食したものと考えられます.