プレス情報
2015年10月16日 中建日報
コンクリートメンテナンス協会 技術者の心構えを伝授|補修・補強フォーラムに300人
本格的な維持管理時代を迎える中、インフラ老朽化対策に立ち向かう技術者の心構えを説く『コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム~技術者たるもの、斯くありたし~』が13日、(一社)コンクリートメンテナンス協会(徳納剛会長)と広島県コンクリートメンテナンス協会(同会長)の主催で開かれ、会場となった広島県民文化センターは約300人の来場者で賑わった。
高度成長期に建設されたコンクリート構造物の延命化が叫ばれて久しいが、実際の現場では技術者・予算の不足といった深刻な問題を抱えている。この日のフォーラムは問題解決のための心構え、調査・診断・設計・施工の正しい考え方に主眼を置いたもので、同協会が毎年春から夏にかけて開催している全国フォーラムとは異なる内容。
主催者代表挨拶で徳納会長(福徳技研)は、「当初、今回は小規模な講演会とする予定だったが、事前に宮崎先生の講演内容を見せていただき、多くの技術者に聞いてもらうことが私の責務と思った」と開催の経緯を説明したのち、「今回の3つの講演は、いずれも限られた人材・予算でいかにして最大限の効果を出すかというもので、これは本来あるべき維持管理の考え方とも言える。長時間になるが、最後まで聞いてほしい」と述べた。
フォーラムには、広島工業大学客員教授の宮崎祐助氏を筆頭に、3人のエキスパートが登壇し、宮崎市は『技術者たるもの、斯くありたし』をテーマに「自分自身の安全率を持つこと」「知らないと言える自信を持つこと」「時の流れに敏感になること」など技術者の心得を伝授。最後の一言で「技術者は本当の意味での責任を取ることはできない。ならばせめて誠心誠意、その時の精一杯で対応するべき」と訴えた。
広島工業大学教授の十河茂幸氏は、『限られた資源での橋梁点検は斯くありたし』と題し、今後急速に老朽化が進む道路橋の現状や国や行政の対応状況などについて説明するとともに、効果的な橋梁点検のあり方についても触れ、「手をこまねくよりも手を尽くすべし」と強調。
また、同協会技術委員長の江良和徳氏(極東興和)は、演題『与えられた条件での橋梁補修は斯くありたし』の中で、「コンクリート補修は定量的かつ主体的に行うべき」とし、劣化状況を正しく把握した上で状況と要求性能に応じた維持管理シナリオを策定することを提案。表面含浸や亜硝酸リチウム等の注入、電気防食などの各工法のポイント解説も行った。