2024年11月22日 建設速報
2024年11月22日 建設速報 コンクリート構造物の話第3回
構造物の維持管理・人間の健康管理
構造物の維持管理は、人間の健康管理に良く似ていると言われます。ちょっと両者を比較してみましょう。私は毎年、人間ドックを受診しています。最近の受診結果通知書には、やれ中性脂肪が高いだの、HbA1cが上昇傾向だのと書かれていました。判定もD判定やE判定となれば精密検査が必要です。私も今回またE判定を受けたので、毎日憂鬱な気分です。(健康診断を受けたことが私の健康状態をより悪化させていると言えなくもありません。)
定期健康診断で何か異常が見つかった場合、MRIなどの威圧感たっぷりの装置を使って詳細に調べ上げ、それらの検査結果をもとに病名を特定します。そして、その病気の種類や進行具合、今後の病状進行予測に応じて、医師の指示によって最適な治療方法が選定されます。方針が決まればいよいよ治療です。治療の方法もさまざまで、軽い症状であれば薬の処方や通院だけで済むこともありますが、場合によっては入院や手術が必要になることもあります。治療をきちんと行い、できるだけ元の健康状態を取り戻しましょう。ただし、治療が完了したからといって、すぐに安心するわけにはいきません。十分な経過観察が必要です。病気が再発しないように、定期的にチェックを続けることが重要です。このように、健康管理は、予防から治療、そして再発防止のための経過観察までが一連のプロセスとして行われています。
さて、これをコンクリート構造物の維持管理に置き換えてみましょう。構造物の管理者は、定期的に目視や打音検査などの点検を行います。この定期点検は、あたかも健康診断のような役割を果たします。点検の結果、ひび割れや錆汁が見つかれば、次の段階として詳細な調査が必要となります。詳細調査では、コンクリートコアを採取し、さまざまな試験や化学分析を行います。これらの試験結果をもとに、劣化の原因を特定します。そして、その劣化の種類や進行具合、今後の劣化進行予測に応じて、コンクリート診断士などの専門家が最適な対策方法を選定します。
方針が決まればいよいよ対策工の実施です。症状が軽ければ補修のみで済むこともありますが、状況によっては補強工事が必要になることもあります。対策工をきちんと施工し、できるだけ元の健全度を取り戻しましょう。ただし、対策工事が完了したからといって、すぐに安心するわけにはいきません。十分な経過観察が必要です。再劣化が生じないように、定期的にチェックを続けることが重要です。このように、構造物の維持管理は、点検・診断から補修・補強、そして再発防止のための経過観察までが一連のプロセスとして行われています。
こうして両者を並べてみると、維持管理と健康管理が本当によく似ていることがわかりますね。定期的な点検・調査を行い、問題があれば迅速に対処し、その後も経過観察を怠らないことが、どちらも重要です。私も、橋に負けないように、早めに精密検査を受け、対策工(治療)をしっかりと行うことにします。