令和４年度実務処理能力向上研修「橋梁補修講座」主催：(一社)広島県土木協会　に講師派遣をしました。

令和４年１０月２７日(木)10:00～16:00

会場：公益社団法人広島市文化財団まちづくり市民交流プラザ５階　研修室A・B
広島市中区袋町６-36

広島県土木協会主催の「令和4年度　実務処理能力向上研修」が行われ、冒頭で土木協会の稲角亮次事務局長から、維持管理が直面する課題を紹介し、参加者に対して挨拶がなされた。研修では、JCMAの顧問十河茂幸（近未来コンクリ－ト研究会）と技術委員長の江良和徳氏（極東興和㈱）および青柳真輔氏（大塚刷毛製造㈱）、吉原慎二氏（㈱吉原鉄工所）が講師を行った。参加者は、広島市、安芸高田市、呉市、大竹氏、廿日市市、北広島町、東広島市、福山市、府中市、三原市、尾道市、世羅町、庄原市の維持管理を役目とする担当者で、約30名の参加があった。
研修内容は、「コンクリートに生じるひび割れの種類と原因について」では、初期ひび割れと劣化で生じたひび割れを見分けて異なる対応が必要であることを十河講師が説明したのち、「橋梁補修工事に係る調査方法の比較などについて」土木協会を吉村崇主査が説明され、それに続いて「簡易点検要領による結果と考察について」は、「中川橋（尾道市）点検実施報告書」のビデオを見ながら土木協会の甲斐研修担当監が解説された。
午後からは、「橋梁点検の結果に応じた補修工法の選定について」江良講師の解説があり、事前に実施した補修状況の映像を確認しながら、工事のポイントと工事の流れの紹介があった。
また、「鋼橋の補修（塗替え）工事の品質と安全」と題して、青柳講師から丁寧な説明がなされ、「素地調整（ブラスト工法）について」吉原講師から詳しい説明が行われた。
なお、講師の説明後には、多くの質疑応答がなされ、福徳技研の石森氏も応答に加わるなど活発な意見交換があり、時間を30分延長しての閉会となった。

[十河茂幸]

目的

　橋梁点検・補修において重要な知識となるコンクリートのひび割れの見分け方について解説する。
また、鋼橋の補修に関する疑問を事前に徴収し、疑問解決に向け詳細な解説を行うことにより、監督業務における処理能力の向上を図る。
　その他、継続的に実施している小規模橋梁の簡易点検の結果に基づき実施した簡易補修の実施事例を紹介する。

10:00～11:00

主催者挨拶

10:10～11:00(50分)

演題：コンクリートに生じるひび割れの種類と原因について

講師：近未来コンクリート研究会　代表　十河茂之　氏
　　　(一社)コンクリートメンテナンス協会　顧問

コンクリートに生じるひび割れについて、施工時に発生するひび割れと裂開により生じるひび割れの見分け方、およびひび割れ発生のメカニズムと、その対応策について詳細に解説した。

(参考)
１、コンクリートに生じる初期ひび割れの種類と原因について
　乾燥収縮によるひび割れ、セメントの水和熱によるひび割れ、ブリーディングに伴うひび割れ、コンクリートの沈下ひび割れ、型枠のはらみ・支保工の沈下によるひび割れ、環境温度・湿度の変化によるひび割れ、過重・構造物の不等沈下によるひび割れなど

11:10～12:00(50分)

演題：簡易橋梁点検による結果と考察について
※ビデオ上映あり

講師：近未来コンクリート研究会　代表　十河茂幸
　　(一社)コンクリートメンテナンス協会　顧問

実施した簡易橋梁点検における鉄筋の被り厚さ、塩分濃度や中性化などの結果を踏まえ、「劣化したコンクリート個所を斫ることができるのか」、「交通を解放した状態で工事が行えるのか」など、補修工事を行う上での注意点をはじめ、対象橋梁における補修工法のポイントと将来予測(寿命)について解説する。

事前説明

11:10～11:25(15分)
〈説明〉「橋梁補修工事に係る調査方法の比較等について」　

(一社)広島県土木協会技術部　主査　吉村崇

・品格法に基づく発注の際に求めるべき担当技術者要件を説明する。
・橋梁補修工事に係る調査として、「橋梁補修詳細調査」と「簡易橋梁点検」について主要な調査項目の違いを開設する。
・橋梁の撤去事業について、国の動向や実際の事業のじょうようについて情報提供する。

11:25～11:35(10分)
〈解説〉：中川橋１(尾道市)点検・診断状況

(一社)コンクリートメンテナンス協会　副会長　峯松昇司

・簡易橋梁点検の実施状況の動画を上映しながら解説する。

11:35～11:45(10分)
〈解説〉：中川橋１(尾道市)点検実施報告書

(一社)コンクリートメンテナンス協会　副会長　峯松昇司
井上建設㈱

・簡易橋梁点検による点検結果を開設する。

13:00～13:50(50分)

演題：橋梁点検の結果に応じた補修工法の選定について

講師：(一社)コンクリートメンテナンス協会　技術委員長　江良和徳
極東興和㈱

　今回実施した簡易橋梁点検の結果を踏まえ対象橋梁の劣化状況を開設すると共に、補修効果を得るために選定すべき補修工法等の考え方について解説する。
　その後、事前に実施した補修状況を映像で確認しながら、コンクリートを斫り終えた段階における鉄筋などの状況と点検結果が相似しているかを確認する上でのポイントをはじめ、今回選定した補修工法のポイントと工事の流れを説明する。

〈解説〉:「中川橋１(尾道市)補修状況」(映像時間５分程度)
・補修状況の動画を上映しながら解説する。
説明：(一社)コンクリートメンテナンス協会　副会長　峯松昇司　氏

14:00～15:30(90分)

演題：鋼橋補修(塗替え)工事　品質と安全性

講師：(一社)コンクリートメンテナンス協会　青柳真輔　氏　大塚刷毛製造㈱
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉原慎二　氏　㈱吉原鉄工所　

鋼橋の長寿命化で、素地調整と塗り重ねについて、実例を踏まえて問題を提起した上で、品質管理する上で必要とする対応について解説する。また、素地調整の概要や、工事中に発生した事故から安全管理で必要な対策について説明する。

15:40～16:20(20分)

質疑応答：事前質問と講義全般について

講義全般をはじめ、橋梁点検に関する事項や補修工法の選定に関する事項など、通常業務における疑問等について質疑応答を行う。

質疑応答