2022年2月1日 中建日報 21年度技術講演会開催 構造物の点検技術など学ぶ 山口県コンクリート診断士会
21年度技術講演会開催
構造物の点検技術など学ぶ
山口県コンクリート診断士会
山口県コンクリート診断士会(瀬原洋一会長)と広島県コンクリート診断士会(十河茂幸会長)は1月28日、山口市小郡令和1丁目のKDDI維新ホールで「2021年度技術講演会」を開催した。会場とオンライン配信によるハイブリッド方式で行われ、会場には22人、オンラインで51人が受講し、コンクリート構造物の点検や補強などに関する技術を学んだ。
はじめに、瀬原会長が「オミクロン株が猛威を振るっており開催を迷ったが、しばらくはコロナと付き合うことになるため、このような環境でも事業や活動を続けていくためにも行う」と開催に向けた経緯を説明し、続けて「既存ストックの最大利用が命題になっている。構造物の安全を担保するために、点検や診断、維持管理、保全の技術など、我々診断士やこれから診断士を目指す人の使命になる。建設業は高齢化が進んでいるため、生産性向上のために建設DXなどを取り入れる必要がある。技術者は、これまで培った技術を基に少しずつでも新しい技術を取り入れたり学んだりして歩むべきだと思う。生産性向上の背景には品質向上もあり、品質の向上のために継続して勉強していく必要がある。本日の講演で、キーワードや工法、技術、基礎研究などを学んでもらいたい」とあいさつした。
講演会では、県外在住の講師はリモートで登壇し、長崎大学大学院の松田浩教授が「インフラ整備への地域住民の参画とICTの利活用」と題し、10~20年前のインフラ状況、長崎大学大学院インフラ長寿命化センターや道守養成講座、道守養成ユニット、三次元測量装置やレーザドップラー速度計などを用いた計測など光学的計測法と新しい点検法などについて解説した。松田教授は最後に作家塩野七生氏の著書ローマ人の物語Xを取り上げ、「ローマ人の真の偉大さはインフラの整備にあった。人間が人間らしい生活を送るために必要な大事業。インフラがどうなされるかはその民族のこれからの進む道まで決めてしまう」と説いていると紹介した。
また、山口大学大学院の吉武勇教授は「内部固定定着式プレストレス補強工法の実用化」について、近未来コンクリート研究会の十河茂幸代表が「予防保全を目的としたコンクリート構造物の点検の在り方」、山口大学大学院の中村秀明教授は「コンクリート構造物点検省力化へのAIの活用」についてそれぞれ講演した。
このほか、福井コンピュータの木下哲也氏が「初めてのBIM/CIM・ICT活用」、インフォマティクスの池田昌隆氏が「土木構造物の調査・点検業務におけるXR活用事例~現場XR最新動向と今後の期待について~」と題し、製品・技術紹介を行った。