回答者:江良和徳 技術委員長
A:まず,巻き立てる鋼板の取り扱いですが,巻き立てる鋼板と既存躯体の間がエポキシ樹脂や無収縮モルタル等で一体性が確保されていれば,通常のRC計算における主鉄筋に置き換えて耐力計算を行うことができます.また,腐食した内部既存鉄筋ですが,ご指摘のように,腐食した鉄筋は無視して,すべて新たに付け加える鋼板で受け持たせると計算することは安全側の耐力評価になります.ただし,腐食しても完全に鉄筋が消失していなければ,実質は引張力を幾らかは負担できます.この分を考慮に入れたい,すなわち巻き立てる鋼板の量を少しでも少なくしたい,という場合,部材中の腐食の最も激しいと見受けられる部分で,数か所かぶりをはつり,鉄筋の腐食の程度を調査します.その結果,例えば,鉄筋の断面が50%くらい消失していたとすれば,既存鉄筋の効果を設計当初の半分の断面積に低減して計算するという考えもあります。